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生きること・学ぶこと
文:吉田公平

第三十一回

「ウサギとカメ(3)」


もしもし亀よ亀さんよ。
世界のうちでお前ほど
歩みののろい者はない。
どうしてそんなにのろいのか。
なんとおっしゃる兎さん。
それならお前と駆け比べ。
向こうのお山の麓まで。
どちらが先に駆け着くか。

カメさんがせっせと短い足で駆け足している最中、先を行っていたウサギさんが油断をして寝込んだために、カメさんに追い抜かれてしまった。

ウサギさんは得意技を過信してドジを踏んだ間抜けの怠け者か。

「しばしも休まず」に働き通した村の鍛冶屋さん。
「杉の子」と馬鹿にされながらも大きくなってお国の役に立った杉。
それと対比すると、本領を発揮することに不熱心なばかりではなく、それを放棄したウサギさんは怠け者の烙印をおされるのは、やむを得ないのかも知れない。

しかし、他人からけしかけられた競争に一旦は乗せられながらも、途中でその欺瞞性に気がついて、戦線を離脱したことはむしろ称賛されるべきことではないか。

その勝負に勝ったとしてもウサギさんにとって何の意味があるのか。あらためてカメさんをぎゃふんといわせたところで、ウサギさんにとっては白けるばかりで、格別の意義はない。
売られた喧嘩は買わねば男がすたるともいうが、このウサギさんは男なのか。
そもそもそれはやくざな世界のこと。むしろ、無意味な争いの愚かさに気がついて、トラックの外の草むらで寝ころんで、おのれの生き方を考え、来し方行く末を思案しているうちに、お目目が塞がり熟睡してしまったのかもしれない。

日頃の過当競争の中で疲労困憊していたとしたら、久々の休養がとれて幸運であった。目が覚めた時にはカメさんはとうに「向こうのお山の麓」に着いていたにちがいない。

しかし、ウサギさんにとってはそれはもうどうでもよいことだった。身も心も軽くなったウサギさんはウサギさんらしく生きていこうという思いで自分のお家にとっとこと帰っていったのではないか。

「お上」が設定した目標から自由になることを許されなかった時代がある。
ウサギさんの熟睡はさしずめサボタージュということになる。「非国民」呼ばわりされかねない。わたしたちはある国の国民であることから自由にはない。国民であることによって保護もされ責任をも課せられる。

しかし、この「国民」主義が閉ざされた形で主張されるとき、わたしたちは「国民国家」の枠に閉じこめられ、「国家」や「民族」を超えた生き方や考え方をすることが困難になり、そのように生きる人を非難したり無視したりする懼れが多分にある。

『論語』に「和して同ぜず」とい言葉がある。
「和」とは多様性を認めること。「同ぜず」とは自らは自前で考えもせずに他者に同調したりしないこと。
また、他者に対しては、その他者の他者性を無視して他者を自己に同化させたりしないこと。

カメさんが自前で設定した目標に向けて努力したこと、勤勉であったことはとても大事なことだ。しかし、批判精神を持ち合わせずに盲目的に邁進することは危険なことだ。

だからこそ、ときにはコースからはずれて、考え直すことが必要なのである。やみくもに驀進することをひとまずやめて思案熟考したウサギさんの生き方も参考になると思う。

わたしたちは「毎日が忙しい」と口にしがちだが、本当に意味があることで忙しくしているわけではない。浮き世の義理で手が抜けないことに囲まれて生きている毎日ではあるが、それだけにウサギさんにならって、熾烈な競争が展開されている現場から一歩身を引いて、熟考し熟睡することが、健康のためにも心の活性化のためにもとても大事なことだと思う。

ウサギさん万歳。



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